手芸店や手芸コーナーに行くと、細長い棒状の道具がセットになって並んでいるのを見かけることがあります。セーターやマフラーなど、手編みニットの作品作りに使われる道具です。
「棒針」という言葉は知っていても、かぎ針とは何が違うのか、輪針とはどう使い分けるのか、はっきり説明できない人は多いのではないでしょうか。太さの号数や素材の選び方に迷う人も少なくありません。
一言でいえば、棒針とは毛糸などの糸を使って編み物をするための、細長い棒状の手芸道具のことです。2本または複数本を組み合わせて使い、表目と裏目の組み合わせでさまざまな模様を編み出せます。
この記事では、棒針の種類や選び方、かぎ針・輪針との違いについてわかりやすく解説します。
棒針とは
棒針とは、毛糸や綿糸などを使って編み物をするための、細長い棒状の手芸道具です。
2本を1組にして使うのが基本の形ですが、作品によっては複数本を組み合わせて使うこともあります。
英語では「knitting needles」と呼ばれ、世界各地で古くから親しまれてきた編み物道具のひとつです。
針先で糸を引っかけながら目を作り、それを一段ずつ重ねていくことで、面のように広がった編み地を作れるのが特徴です。
棒針編みの由来と歴史
棒針を使った編み物は、衣類や防寒具を手作りする文化の中で、世界各地で発展してきたと考えられています。
日本では洋裁や手芸の普及とともに広まり、セーターやマフラーなど冬物の手作り小物として定着しました。
正確な発祥地や年代については諸説あり、地域や資料によって説明が異なることもあるため、ここでは詳しい年号には触れません。
現在では趣味の手芸としてだけでなく、手作りの温かみを楽しむクラフトとして、幅広い世代に親しまれています。
棒針編みの仕組み
棒針編みは、糸を針にかけて引き出す動作を繰り返し、目を一段ずつ積み重ねていく編み方です。
基本となる編み目は「表目」と「裏目」の2種類で、この組み合わせ方によって模様や生地の表情が大きく変わります。
表目だけを重ねると横縞のような凹凸が出るガーター編みに、表と裏を交互に組み合わせるとなめらかなメリヤス編みになります。
同じ2種類の編み目でも、並べ方次第でリブ編みや縄編みなど、表情の異なる模様が作れる点が棒針編みの面白さです。
棒針の素材による種類
棒針にはいくつかの素材があり、それぞれ編み心地や扱いやすさに特徴があります。
- 竹製・木製:糸が滑りにくく、初心者でも扱いやすい
- 金属製(アルミ・ステンレスなど):なめらかで編むスピードを出しやすい
- プラスチック製:軽く、価格が手ごろなものが多い
- カーボン製:軽量で強度があり、長時間の作業でも疲れにくい
初めて棒針編みに挑戦する場合は、糸が滑りにくく扱いやすい竹製や木製が選ばれることが多いようです。
棒針の形状による種類
棒針は素材だけでなく、形状によっても種類が分かれます。
- 2本棒針:最も基本的な形で、往復編みに使う
- 4〜5本棒針(両先棒針):両端が尖った短い針を複数本使い、輪編みをする
- 輪針:2本の針先をコードでつないだ形で、大きな輪編みに使う
マフラーのように平らに編む作品には2本棒針、靴下や帽子のように筒状に編む作品には4〜5本棒針や輪針が向いています。
棒針の太さ(号数)とは
棒針には太さを表す号数があり、数字が大きくなるほど針そのものが太くなります。
細い棒針は細い糸を使った繊細な編み地に、太い棒針は太い糸を使ったざっくりとした編み地に向いています。
号数と糸の太さの組み合わせは毛糸のラベルに目安が示されていることが多く、購入時の参考になります。
具体的な号数とミリ単位の対応は製品やメーカーによって表記が異なる場合があるため、購入前にラベルや説明書きを確認しておくと安心です。
棒針の選び方
棒針を選ぶ際は、作りたい作品の形状と、使う糸の太さの両方を基準に考えます。
平らに編む作品なら2本棒針、筒状に編む作品なら4〜5本棒針か輪針というように、形状に合わせて選びます。
初心者は糸が滑りにくい竹製や木製を選ぶと、目が針から抜け落ちにくく編みやすいといわれています。
長さについても、編む作品のサイズに合わせて選ぶと、編み地が針の上で窮屈にならずに作業しやすくなります。
棒針とかぎ針の違い
棒針とかぎ針は、どちらも糸を使う編み物道具ですが、形状と編み方が大きく異なります。
| 項目 | 棒針 | かぎ針 |
|---|---|---|
| 本数 | 2本または複数本を組み合わせて使う | 1本で編む |
| 先端の形 | 両端または片側が尖った棒状 | 先端がフック状になっている |
| 編み方 | 表目・裏目を組み合わせて編む | 目を引っかけて引き抜きながら編む |
| 向いている作品 | セーターやマフラーなど面で編む作品 | モチーフやレース編みなど |
棒針は複数の目を同時に針にかけたまま編み進めるのに対し、かぎ針は基本的に1目ずつ完成させながら編み進める点が大きな違いです。
棒針と輪針の違い
輪針は、棒針の一種としても説明されることがありますが、形状には明確な違いがあります。
| 項目 | 棒針 | 輪針 |
|---|---|---|
| 形状 | 1本ずつ独立した棒状 | 2本の針先をコードでつないだ形 |
| 編み方 | 往復編み、または複数本での輪編み | 1本で往復編みと輪編みの両方に対応できる |
| 向いている作品 | マフラーなど小物や部分編み | セーターなど大きな輪編み作品 |
| 持ち運び | 本数が増えるとかさばりやすい | コンパクトにまとめやすい |
大きな作品を輪編みで仕上げたい場合や、目数が多い作品では、輪針の方が針から目が落ちにくく扱いやすいとされています。
棒針で編める代表的な技法
棒針編みには、表目と裏目の組み合わせによって生まれるさまざまな技法があります。
- ガーター編み:表目だけを繰り返し、横縞状の凹凸を作る
- メリヤス編み:表目と裏目を交互に組み合わせ、なめらかな面を作る
- リブ編み:表目と裏目を縦に交互に並べ、伸縮性のある編み地を作る
- 縄編み(ケーブル編み):編み目を交差させて立体感のある模様を作る
これらの技法を組み合わせることで、セーターの袖口や靴下の履き口など、作品ごとに適した表情を作り分けられます。
棒針編みの基本的な流れ
棒針編みは、大きく分けて作り目・本体を編む・伏せ止めという3つの工程で進みます。
まず、棒針に糸をかけて最初の目を作る「作り目」を行い、編み地の土台を作ります。
次に、表目や裏目を組み合わせながら段を重ね、模様や形を作りながら本体部分を編み進めます。
最後に、編み終わりの目を一つずつ始末する「伏せ止め」を行い、編み地がほどけないように仕上げます。
棒針の手入れと保管方法
棒針は使ったあと、糸くずやほこりを軽く拭き取っておくと、次に使うときに糸が滑りやすい状態を保てます。
金属製の棒針は湿気によるサビを避けるため、乾いた布で水分を拭き取ってから保管すると安心です。
竹製や木製の棒針は、直射日光や高温多湿の場所に長時間置くと、反りやひび割れの原因になることがあります。
号数ごとに専用のケースや袋に分けて保管すると、必要な太さの棒針をすぐに取り出せて便利です。
棒針編みでよくある誤解
「かぎ針の方が簡単で、棒針は難しい」というイメージを持たれることがありますが、どちらも慣れが必要な点は共通しています。
棒針は目を複数同時に針にかけたまま作業するため、最初は糸の引き加減や目数の管理に戸惑う人もいます。
一方で、一度リズムをつかむと、表目と裏目の繰り返しだけで模様を作れるため、単調な作業として集中しやすいという声もあります。
道具の向き不向きよりも、作りたい作品の形状に合わせて棒針かかぎ針かを選ぶという考え方の方が実用的です。
まとめ
棒針とは、毛糸などを使って編み物をするための細長い棒状の道具で、表目と裏目の組み合わせによってさまざまな模様を編み出せます。
素材には竹・木・金属・プラスチック・カーボンなどがあり、形状も2本棒針・4〜5本棒針・輪針と目的に応じて使い分けます。
かぎ針は1本でフック状の先端を使って編むのに対し、棒針は複数の目を針にかけたまま編み進める点が大きな違いです。
輪針は棒針の形状のひとつで、大きな輪編み作品をコンパクトに扱いたいときに特に役立ちます。作りたい作品や糸の太さに合わせて、自分に合った棒針を選んでみてください。















コメント