家具店やインテリア雑誌で、ソファや椅子の表面に菱形の模様が並ぶデザインを見かけることがあります。
この模様はどのように作られているのか、キルティングや刺繍と同じものなのか、気になる人も多いのではないでしょうか。
一言でいえば、タフティングとは布地をボタンや糸で引き締めて、規則的なくぼみと膨らみを作り出す家具の装飾技法です。
この記事では、タフティングの意味や種類、仕組み、キルティングや刺繍との違いについてわかりやすく解説します。
タフティングとは
タフティングとは、椅子やソファ、クッションなどの表面に、ボタンや糸を使って規則的なくぼみと膨らみを作り出す装飾技法です。
生地の一部を内側に引き込むことで、菱形や格子状の模様が浮き出るのが特徴です。
くぼみと膨らみが交互に並ぶことで、平らな布地にはない立体感が生まれます。
クラシックな雰囲気を持つ家具や寝具の仕上げ方法として、古くから使われてきた技法です。
タフティングの語源・由来
タフティングは、英語のtuft(タフト)という言葉に由来するといわれています。
tuftには房や束といった意味があり、糸で布を引き留めた部分が房のように見えることから名づけられたと考えられています。
この技法自体は、19世紀ごろのヨーロッパの家具づくりの中で発展してきたとされています。
もともとは詰め物のずれを防ぐための実用的な縫い方だったものが、次第に装飾としての意味合いを強めていったと考えられています。
タフティングの仕組み
くぼみと膨らみができる理由
タフティングの仕組みは、布と詰め物を重ねた状態で、一定の間隔ごとに糸やボタンを通して強く引き締めることにあります。
引き締められた部分は内側にくぼみ、その周囲にある詰め物が押し出されて膨らみます。
このくぼみと膨らみが等間隔で繰り返されることで、菱形や格子状の模様が生まれます。
模様の美しさは、詰め物の量や引き締める力のバランスによって大きく左右されます。
タフティングの主な種類
タフティングには、仕上がりの見え方によっていくつかの種類があります。
- ボタンタフティング:表面にボタンを縫いつけて、くぼみと装飾を同時に作る方法
- ノットタフティング:ボタンを使わず、糸の結び目だけでくぼみを作る方法
- ブラインドタフティング:表面にボタンが見えないよう、内側で糸を処理する方法
どの方法を選ぶかによって、家具の雰囲気や手入れのしやすさが変わってきます。
タフティングが使われる家具・アイテム
タフティングは、クラシックな印象を持つ布張り家具に多く用いられてきました。
- 応接室などに置かれる重厚な雰囲気のソファ
- 背もたれ付きの椅子やアームチェア
- ベッドのヘッドボード
- クッションやオットマン
近年では、家庭用のクッションカバーなどにも、タフティング風の装飾を取り入れたものが見られます。
タフティングとキルティングの違い
タフティングとキルティングは、どちらも布地に模様を作る技法ですが、目的と仕組みが異なります。
| 観点 | タフティング | キルティング |
|---|---|---|
| 主な目的 | くぼみと膨らみで立体感を出す | 布を重ねて保温性や強度を高める |
| 仕組み | ボタンや糸で引き締めて凹凸を作る | 布と芯材をミシンなどで縫い合わせる |
| 見た目 | 菱形・格子状の深いくぼみ | 縫い目に沿った平らな模様 |
| 主な用途 | ソファ・椅子・ヘッドボードなど | 布団・ジャケット・バッグなど |
簡単にいえば、タフティングは凹凸の立体感、キルティングは面としての模様を作る技法といえます。
タフティングと刺繍の違い
刺繍は、糸を使って布の表面に絵や文字、模様を描き出す技法です。
タフティングも糸やボタンを使いますが、目的は模様を描くことではなく、くぼみと膨らみを作ることにあります。
刺繍が平面的な装飾であるのに対し、タフティングは立体的な構造を生み出す技法という点が大きな違いです。
布の表面を装飾する点は似ていますが、仕上がりの質感はまったく異なるものになります。
タフティングのメリット
- 立体感のある上品な見た目を作れる
- クラシックな雰囲気を家具に加えられる
- 詰め物のずれを抑える効果も期待できる
見た目の美しさだけでなく、詰め物を安定させる役割も持っている点が特徴です。
タフティングの注意点
タフティングには、見た目の良さと同時に気をつけておきたい点もあります。
- くぼみの部分にホコリや汚れがたまりやすい
- 糸やボタンが緩むと模様が崩れやすい
- 手作業での仕上げが多く、修理に手間がかかる場合がある
家具の購入や手入れを考える際は、これらの点も踏まえておくと安心です。
自宅でタフティング風のクッションを作るには
手軽に楽しむ工夫
本格的なタフティングには詰め物や専用の道具が必要ですが、クッションであれば手軽に雰囲気を楽しむこともできます。
市販のクッションに丈夫な糸とボタンを使い、何箇所か引き締めるだけでタフティング風の凹凸を作ることができます。
糸を通す位置を等間隔にすることで、菱形に近い模様に仕上げやすくなります。
あくまで簡易的な方法ですが、インテリアに少し変化をつけたいときの工夫として取り入れられています。
タフティングのお手入れ方法
タフティング加工された家具は、くぼみの部分に汚れがたまりやすいという特徴があります。
定期的に掃除機のブラシノズルやハンディブラシで、くぼみの奥までホコリを取り除くことが大切です。
水拭きをする場合は、生地の種類によって適した方法が異なるため、素材を確認してから行うと安心です。
長く美しい状態を保つためには、日常的なお手入れの積み重ねが欠かせません。
タフティングに関するよくある誤解
タフティングとキルティングは見た目が似ているため、同じ技法だと誤解されることがあります。
しかし前述のとおり、両者は目的や仕組みが異なる別の技法です。
また、タフティングは高級家具だけの技法だと思われがちですが、クッションなど手の届きやすいアイテムにも取り入れられています。
難しい技法というイメージを持たれやすい一方で、簡易的な方法であれば家庭でも雰囲気を楽しむことができます。
まとめ
タフティングとは、布地をボタンや糸で引き締めて、規則的なくぼみと膨らみを作り出す家具の装飾技法です。
ボタンタフティングやノットタフティング、ブラインドタフティングなど、仕上がりによっていくつかの種類があります。
キルティングは布を重ねて模様を作る技法、刺繍は糸で絵や文字を描く技法であり、タフティングとはそれぞれ目的や仕組みが異なります。
立体感のある上品な見た目が魅力のタフティングですが、汚れがたまりやすい点にも注意しながら、家具選びやインテリアの参考にしてみてください。















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