カフェやダイニングで、背もたれに細い棒が何本も並んだ木製の椅子を見かけたことがある人は多いのではないでしょうか。
その椅子が「ウィンザーチェア」と呼ばれていることを知っても、なぜその名前なのか、どんな構造の椅子なのかをはっきり説明できる人は少ないかもしれません。
一言でいえば、ウィンザーチェアとは、厚みのある座面に脚と背もたれの棒を直接差し込んで組み立てる、イギリス発祥の木製椅子のことです。
この記事では、ウィンザーチェアの構造や種類、ロッキングチェア・ラダーバックチェアとの違いについてわかりやすく解説します。
ウィンザーチェアとは
ウィンザーチェアとは、座面に直接脚と背もたれの棒を差し込んで組み立てる、イギリス発祥の木製椅子を指す言葉です。
厚みのある一枚板の座面に穴をあけ、そこに脚や背もたれを支える細い棒状のパーツを差し込んで固定するのが大きな特徴です。
釘や接着剤だけに頼らず、木材そのものを組み合わせて強度を出す工法のため、見た目以上にしっかりとした作りになっています。
装飾を抑えたシンプルな見た目でありながら頑丈で、家庭用から店舗用まで幅広い場面で使われてきた椅子です。
ウィンザーチェアの名前の由来
ウィンザーチェアという名前の由来については、はっきりとした一つの記録が残っているわけではなく、いくつかの説があります。
広く知られているのは、イギリスのウィンザー周辺の地域でこのタイプの椅子が盛んに作られ、流通していたためという説です。
そのほかにも、ウィンザー周辺の市場で取引される椅子として呼ばれるようになったという見方もあり、由来は一つに絞られていません。
名前の由来が複数あること自体も、この椅子が長い年月をかけて各地に広まっていった歴史を物語っているといえます。
ウィンザーチェアの構造の特徴
ウィンザーチェアの最大の特徴は、座面を椅子の中心として、脚と背もたれの棒をそこに直接差し込む構造にあります。
一般的な椅子は背もたれと座面、脚をそれぞれ別の枠組みでつないで組み立てますが、ウィンザーチェアは座面がすべてを受け止める土台になります。
この作り方は「貫き構造」とも呼ばれ、パーツの数を減らしながら椅子全体の強度を保てる点が評価されています。
また背もたれに使われる細い棒は、スティックやスピンドルと呼ばれ、まっすぐなものだけでなく曲げ加工された棒を使うスタイルもあります。
ウィンザーチェアの主な種類
ウィンザーチェアには、背もたれの形によっていくつかの代表的なスタイルがあります。
- コームバック:背もたれの上部が櫛の歯のように広がるタイプ
- ボウバック:弓のように曲げた一本の木で背もたれの外枠を作るタイプ
- ファンバック:背もたれの棒が扇形に広がるタイプ
- ロッキング型:脚に弧状のパーツを取り付けて揺らせるようにしたタイプ
これらのスタイルはイギリスだけでなく、北アメリカに伝わったあとも独自の発展を遂げ、地域ごとに少しずつ形を変えてきました。
同じウィンザーチェアという名前でも、背もたれの形によって見た目の印象や雰囲気が大きく変わる点も知っておくと選びやすくなります。
ウィンザーチェアとロッキングチェアの違い
ウィンザーチェアとロッキングチェアは、見た目が似ていることから混同されやすい椅子です。
ロッキングチェアとは、脚の下に弧を描く部材を取り付け、体重移動によって前後に揺れるようにした椅子を指す言葉です。
一方のウィンザーチェアは、座面に脚と背もたれの棒を差し込む構造そのものを指す言葉であり、揺れる機能とは直接関係がありません。
| 観点 | ウィンザーチェア | ロッキングチェア |
|---|---|---|
| 指しているもの | 座面に脚と背もたれを差し込む構造 | 前後に揺れる機能を持つ椅子 |
| 揺れる機能 | 基本的にはない(ロッキング型は例外) | ある |
| 背もたれ | 細い棒を並べた形が中心 | 構造上の決まりは特にない |
実際には、ウィンザーチェアの構造に揺れる脚を組み合わせた椅子も存在するため、両方の特徴を兼ね備えたタイプもあります。
つまり、ウィンザーチェアは構造に注目した呼び方、ロッキングチェアは機能に注目した呼び方という違いで整理すると分かりやすくなります。
ウィンザーチェアとラダーバックチェアの違い
ラダーバックチェアとは、背もたれに横向きの棒を何段か渡した、梯子のような形を持つ椅子を指す言葉です。
ウィンザーチェアの背もたれは縦方向に細い棒を並べる形が中心であるのに対し、ラダーバックチェアは横方向の棒を重ねる形になります。
背もたれの方向が違うだけでなく、座面の構造にも差があり、ラダーバックチェアは必ずしも座面に脚や棒を差し込む作り方を取りません。
どちらも木製でシンプルな印象の椅子ですが、背もたれの棒の向きに注目すると見分けやすくなります。
ウィンザーチェアに使われる木材
ウィンザーチェアには、オークやエルム、チェリーなど、硬さや粘りのある木材が使われることが多くあります。
座面には加工しやすく強度のある木材、脚や背もたれには曲げ加工に適した木材など、部位ごとに異なる種類を使い分ける作り方も見られます。
使われる木材の種類や仕上げ方は、生産地や作り手によって違いがあるため、一つの基準にとどまらない点も特徴です。
ウィンザーチェアの選び方
ウィンザーチェアを選ぶときは、まず置きたい部屋の雰囲気に背もたれの形が合うかどうかを確認するとよいでしょう。
コームバックは縦のラインがすっきりとした印象になり、ボウバックは曲線が多くやわらかい雰囲気を作ります。
座面の高さや奥行きも椅子によって差があるため、使うテーブルとの高さの相性を事前に確かめておくと失敗が少なくなります。
新しく作られたものか、長く使われてきたものかによっても木の色合いや質感が変わるため、好みに応じて選ぶのもひとつの楽しみ方です。
ウィンザーチェアの使い方・置き方
ウィンザーチェアは、ダイニングテーブルの周りに置く定番の椅子としてよく使われています。
同じ形の椅子を複数台並べて統一感を出す使い方だけでなく、一脚だけをアクセントとして取り入れる置き方も人気があります。
デスク用の椅子や読書用の一人掛けとして、リビングの隅に置いても落ち着いた雰囲気を演出できます。
木の質感を活かしたインテリアとの相性がよいため、ナチュラルな空間づくりを意識する場合に取り入れやすい椅子です。
ウィンザーチェアの手入れ方法
ウィンザーチェアは無垂木を使った作りが多いため、直射日光や極端な乾燥を避けて置くことが長く使うためのポイントです。
日常的な手入れとしては、乾いた布でほこりを拭き取るだけで十分な場合がほとんどです。
オイル仕上げがされている椅子であれば、定期的に専用のオイルを薄く塗ることで木の乾燥を防ぎ、質感を保ちやすくなります。
差し込み部分がゆるんできたと感じたら、無理に動かさず、早めに修理の方法を確認することをおすすめします。
ウィンザーチェアにまつわるよくある誤解
ウィンザーチェアは「揺り椅子」と誤解されることがありますが、これは前述のロッキングチェアとの混同によるものです。
揺れる脚を持つタイプも存在しますが、ウィンザーチェアという言葉自体は揺れる機能を保証するものではありません。
また、ウィンザーチェアはすべて同じ形だと思われがちですが、実際には背もたれの形によって見た目の印象が大きく異なる点も見落とされやすい部分です。
古い骨董品だけを指す言葉だと考える人もいますが、現代でも新しく作られているため、アンティーク品に限定される呼び方ではありません。
まとめ
ウィンザーチェアとは、座面に脚と背もたれの棒を直接差し込んで組み立てる、イギリス発祥の木製椅子を指す言葉です。
コームバックやボウバックなど背もたれの形によって複数のスタイルがあり、同じ名前でも見た目の印象は大きく異なります。
ロッキングチェアは揺れる機能に注目した呼び方、ラダーバックチェアは横棒を使う背もたれの形を指す呼び方であり、ウィンザーチェアとは注目する観点が異なります。
構造や種類の違いを知っておくと、インテリアに合わせた椅子選びがしやすくなるはずです。















