靴屋やアパレルショップで「スウェード素材」という表示を見かけたことがある人は多いのではないでしょうか。
柔らかそうな見た目や独特の質感が気になりつつも、本革やヌバックと何が違うのか、いまひとつ分からないという人も少なくありません。
一言でいうと、スウェードとは動物の革の裏面を起毛させて仕上げた、毛羽立ちのある柔らかな質感の素材のことです。
この記事では、スウェードの意味や特徴、ヌバック・本革との違いについてわかりやすく解説します。
スウェードとは
スウェードとは、動物の革の裏面を起毛加工して仕上げた素材のことです。
革の表側ではなく裏側(床面と呼ばれる面)を磨くことで、細かい繊維が毛羽立ち、独特のなめらかな手触りが生まれます。
見た目はベルベットに似ており、光の当たり方や毛の向きによって色合いが変わって見えるのも特徴です。
靴やバッグ、ジャケットなど、ファッション小物からインテリアまで幅広く使われている素材です。
スウェードの語源・由来
スウェードという言葉は、フランス語で「スウェーデンの」を意味する語に由来するといわれています。
かつてスウェーデン産の柔らかな革手袋がヨーロッパで広まり、その質感から素材の名前として定着したという説があります。
ただし成立の時期や経緯には諸説あり、正確な由来として断定できるものではありません。あくまで一説として知っておくとよいでしょう。
スウェードができるまでの仕組み
スウェードは、動物の皮を「なめし」という処理で革に加工したあと、裏面を研磨してつくられます。
サンドペーパーや専用のローラーを使って裏面を均一に磨くことで、細かい繊維が立ち上がり、起毛した表情が生まれます。
この毛足の長さや向きの整え方によって、手触りの柔らかさや見た目の風合いに差が出ます。
革の表面(銀面)ではなく裏面を使うため、表面をそのまま使う革に比べると引っかき傷や水に弱くなる点も特徴です。
スウェードの主な種類
スウェードは、使う動物の種類によっていくつかの呼び方に分かれます。
- 子牛の革を使ったカーフスウェード
- 子羊の革を使ったラムスウェード
- 鹿の革を使ったディアスキン(鹿革スウェード)
- その他、豚や山羊の革を使ったスウェードもある
それぞれ毛足の長さや柔らかさ、価格帯に違いがあり、用途に応じて使い分けられています。
一般に毛足が短く目の詰まったものは上品な印象、毛足が長くふわりとしたものはカジュアルな印象になりやすいといえます。
スウェードの用途・使われる場面
スウェードは柔らかく上品な質感を活かして、さまざまなアイテムに使われています。
- 靴・ブーツのアッパー素材
- ジャケットやコートなどのアウター
- バッグや財布などの小物
- ソファや椅子などのインテリア家具
秋冬のファッションアイテムで見かけることが多いのも、温かみのある見た目と関係しています。
スウェードとヌバックの違い
スウェードとよく混同される素材に、ヌバックがあります。どちらも起毛させた革ですが、磨く面が異なります。
| 項目 | スウェード | ヌバック |
|---|---|---|
| 磨く面 | 革の裏面(床面) | 革の表面(銀面) |
| 毛足の長さ | やや長め | 短くなめらか |
| 質感 | ふんわりと柔らかい | しっとりとなめらか |
| 耐久性 | 比較的傷や水に弱い | スウェードよりやや丈夫 |
ヌバックは革本来の表面を活かして磨くため、スウェードよりも繊維が詰まっており、丈夫で高級感のある印象になりやすい素材です。
どちらも起毛革という点は共通しているため、見た目だけで判断せず、磨いている面の違いを意識すると区別しやすくなります。
スウェードと本革の違い
「本革」という言葉は、表面(銀面)を活かして仕上げたスムースレザーを指して使われることが多くあります。
| 項目 | スウェード | 本革(スムースレザー) |
|---|---|---|
| 使用する面 | 革の裏面を起毛 | 革の表面をそのまま使用 |
| 表面の質感 | 毛羽立った起毛感 | つるりとした滑らかさ |
| 耐水性 | 低い | 加工によって比較的高い |
| お手入れ | 専用ブラシやスプレーが必要 | レザークリームなどで手入れ |
スウェードも動物の革からつくられているため、広い意味では本革の一種です。仕上げ方の違いによって呼び分けられていると考えるとわかりやすいでしょう。
スウェード調・合成スウェードとは
近年は、天然皮革を使わずに似た風合いを再現した合成素材も広く流通しています。
ポリエステルなどの化学繊維を起毛させてつくられており、「スエード調」「フェイクスウェード」などと呼ばれることがあります。
天然のスウェードに比べて水や汚れに強く、価格も抑えられる傾向があるため、雑貨や日用品にも取り入れられています。
見た目はよく似ていますが、素材としては別物のため、購入時にはタグなどで素材表示を確認すると安心です。
スウェードのお手入れ方法
スウェードは水分や汚れに弱いため、日頃のお手入れが仕上がりの美しさを保つポイントになります。
- 使い始める前に防水スプレーをかけておく
- 汚れは専用のスウェードブラシで毛並みを整えながら落とす
- 濡れた場合は無理に拭かず自然乾燥させる
- 湿気の少ない場所で型崩れしないよう保管する
汚れがひどい場合は、無理に自分で対処せず、専門のクリーニング業者に相談するのも一つの方法です。
スウェードを使うときの注意点
スウェードは水や油分に弱く、シミになりやすい素材です。
雨の日の使用や、油を扱う飲食店での取り扱いには注意が必要です。
汚れがついた際に強くこすると、毛並みが乱れて色ムラの原因になることもあるため、やさしく扱うことが大切です。
スウェードによくある誤解
「スウェードは本革ではない」と思われることがありますが、天然のスウェードは動物の革からつくられた正真正銘の本革です。
表面ではなく裏面を使っているだけで、原皮そのものは他の革製品と同じものが使われています。
一方で、化学繊維でつくられたスエード調の生地と混同されやすいため、購入時には素材表示を確認することが大切です。
まとめ
スウェードとは、動物の革の裏面を起毛させて仕上げた、柔らかくなめらかな質感の素材です。
ヌバックとは磨く面や毛足の長さが異なり、本革(スムースレザー)とは表面加工の有無によって呼び分けられています。
水や汚れに弱い素材のため、専用ブラシや防水スプレーを使った日頃のお手入れが欠かせません。
素材の特徴を理解したうえで選べば、スウェードならではの上質な風合いを長く楽しむことができます。















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